【035】 控 え 選 手
  将来は華やかなプロ選手になりたい。 憧れのプレーヤーと自分の姿を重ねてみた。 目指すプロはまだまだ遠い。 いまのぼくは明日のレギュラーを取ることだ。 

  ぼくは控え選手だ。 聞こえがいいけど、 ボールや器具の見張り番だ。
  年下の後輩がレギュラーで、 グランドでボールを追う。 口惜しい。 言葉にすれば、 みじめだから、 じっと耐えているけれど。 

  うちのチームの監督は厳しい。 ミスすれば、 本気で怒られる。 みんなが必死でサッカーボールを追う。 懸命に駆ける。 ボールに喰らいつく。 それでも、 うちのチームは点が取れなかった。  また、 怒鳴られる。 控え選手のぼくまでも、 身が縮むおもいだ。 

「悔しいだろう。 このくやしさが将来のばねになるのだ」
 監督のことばがよみがえった。 
「試合を見て、 攻撃と守備とをしっかりみて、 研究することだ。 それも大切なことだ」
夢で終わらせたくない。 監督のことばを信じてみよう。 

  チームメートが連続してシュートだ。 やっと一点取れた。 皆が小躍りする。 
(いつかはぼくもゴールに蹴りこむぞ)
  皆から抱きつかれる自分の姿。 それが明日のぼくの姿になるぞ。 

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