【031】 ジョギング・ロード |
東京の河川は下町に表情を作る。 幾重にも蛇行した川筋は、その名も七曲と呼ぶ。 竹を折り曲げても、 こうまでも折り曲げられないだろう。 護岸道路はすべてジョギング・ロード。 朝夕に、 ジョガーたちの姿がある。 スポーツウエアはさまざまだ。 孤独なランナーもいれば、 仲間と走るものもいる。 それぞれが自分自身のからだや呼吸と向かい合っている。 |
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太陽の動きで、 川は刻々と顔の表情を変える。 七曲は見る角度で情景が次々に変化する。 ジョガーやランナーはいくら七曲を回っても、 風景には見飽きない。 五月にはサツキが両岸につづく。 冬場には雪峰の富士山の山容がみえる。 川面にはモーターボートが疾走する。 川舟が往来する。 川の情緒が満遍なくみられる。 贅沢なジョギング・ロードをもつ下町だ。 |
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自然が作る技なのだろうか。 Bコース一周が3.5キロだから、 六周で21キロのハーフマラソン。 12周すれば、 ちょうど42キロのマラソン距離になる。 3コースはどのコースも信号なしだ。 車両の進入はすべて禁止。 ランナーやジョガーは存分に走れる。 200メートルの距離盤が舗道に埋め込まれている。 ランナーたちは、 日々に正確なタイムがみずから計れる。 体力に見合ったスピードが保てる。 エントリーしている大会に見合った走りの調整もできる。 速さなどまったく関係なく、 ゆっくりゆっくり走っているジョガーもいる。 |
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中学生が体育の授業で、 七曲のBコースの一周の競技がある。 先頭を争う男子もいれば、 太ったからだで、 辛そうに走る生徒もいる。 わずかな距離で歩き出す女子もいる。 |
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タイムを計る教師がゴールで待つ。 そこだけは懸命に走りだす。 |
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