【024】 残照の橋
  陽が沈んでしまった。 空の明るさが薄らぐ。 
  川面が静かに暮れ行く。 川の波は色をなくしてきた。 一文字の橋では通勤や通学の自転車が行きかう。 橋の影が程よく背景の空のなかに溶け込んでいた。 

  釣り人がリールを巻き上げ、 さおをたたみ引き上げていく。  町の拡声器の放送が、 子どもたちに時間を教え、 帰宅を促す。 ウオーキングの夫婦の姿も数をなくしていく。 

  バスも行先表示に灯火を点す。 交番のお巡りさんも入れ替わる。 残照の空がさらに薄くなると、 一番星が光る。 一つ、三つ、七つと、 その数はたちまち増す。 

 橋上では、 切れまもなく自動車の灯りが行きかう。 上流から下流へ。 その逆もある。 景色の変化が忙しなげだ。 欄干の灯火が一段と光を増してきた。 

 仕事は無事に終わったのだろうか。 一息ついた顔で、 家路に急ぐ。 

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