【043】 踏   切
  ママの生まれた家と、 パパの生まれた家は遠いんだよね。 踏切を越えなければ、 行けないんだよね。 小学校も中学校も、 別々で、 踏切の反対側だよね。
  でも、 学校の屋上に上がれば、 両方がいっぺんに見えるんだって。 ママに聞いたよ。
  踏切があるから、 1人で、 おじいちゃん、 おばあちゃんの家に遊びに行っちゃあ駄目なんだよね。 絶対1人でいかないからね。 ぼく、 お利口だから、 約束守るよ。

  ママとパパは、 高校になって初めて知り合ったんだよね。 おんなじ駅から赤い電車に乗って、 遠い、 遠い学校に通ったんだよね。
  この踏み切りはいつかなくなるんだよね。 そしたら、 赤い電車は高いところを走るんだ。 運転手さんに手を振ってあげられなくなるから、 さみしいな。
  踏切がチンチン鳴り出したよ。 パパ急いで。

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