| 【013】 朝 顔 | 
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| 下町に似合う花は何かしら。 それは朝顔だろう。 そんな夫婦連れの会話が聞こえる。 窓に簾(すだれ)がさがる。 朝顔が背伸びし、 庇まで這い上がっていく。 可憐な紫の花を咲かせる。 花弁が朝露に濡れる。 ごく自然に風情がかもしだされている。 |  | |||
| 朝の顔。 じっと見つめると、 花弁一つひとつに表情がある。 葉陰に隠れたがる子どもの顔、 ちょっとマセタ男の子のような花弁。 思春期のようなしおらしい表情をみせる乙女の朝顔。 | ||||
| 軒下にはちょっとにらみを利かせた大輪の父親。 家族を優しく、 心あたたかく見守る母親の顔。 二つ粒の朝露が光る。 それは母の瞳だった。 | ||||
| 簾のなかで、 家族団欒の爽やかな朝顔一家だ。 朝日と戯れる。 | ||||
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