【018】 キ ロ 塚
 ここは海まで左岸8キロの小名木川。 荒川、 中川、 綾瀬川が合流地点する。 海から1キロごとの表示があるから、 立地がつかみやすい。 

 かつては石標だった。 一里塚とも呼ぶべきものだろう。 いまは洒落た掲示板になった。 『夢虹色あらかわ』と色彩も派手だ。 現代版のキロ塚だともいえる。 

 キロ塚は上流の埼玉県まで、 三十数キロにわたり記されている。 キロ塚も場所によっては風采が違う。 さらに荒川源流まで表記されているかとなると、 わからない。 

 左岸8キロの掲示板には『荒川の下流30景』が紹介されている。 歴史的な由来とか、 史実とかだ。 
『中川の水路は、 江戸の経済を支えていました』と、 イラストで川舟を描き、 河川を説明する。 時代を感じさせる。 頭上の高速道路では、 トラックが頻繁に行きかう。 

『田の神様は田を守り、 豊作をもたらす、 ありがたい農村の神様なのじゃ』と、 和尚さんが由緒ある寺だと教える。 むろん、 いまや田園など微塵もない。 

『洪水のときに鳴らした半鐘じゃよ』と鐘楼が紹介されている。 洪水が出ないように、 護岸はしっかりしている。   現代版となると、 セルロイド人形の展示場、 公立学校、 専門学校、 マンションなど妙に味気なく思える。 川辺には野鳥がいろいろ生息している、 と表記されているが、 鳥の名前など書かれていない。 

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